洲本市で行われている俳句会「若葉会」の句会を見学させていただきました。20年以上俳句を詠み続けておられるベテランの方、一年未満の俳句を作り始めたばかりの方など7名の方にインタビューに協力いただきました。お忙しいなかありがとうございます。
二回目は俳句歴が10年ほど、遠方から通われている鬼本さんにお答えいただきました。熱心にお返事いただき俳句の道、人生に通ずる部分もあるなど深いお話しが聞けました。
初心者が俳句を作る時のヒントとして、6つほど質問に回答いただいています。
『すもと歴史かるた』俳句の作成の参考になることが盛りだくさん、ぜひご一読ください。
俳句会 インタビュー 鬼本英太郎さん #02
お名前
鬼本英太郎(おにもとえいたろう)
俳句歴
10年ぐらい
俳句についてのインタビュー
1:俳句を始めたきっかけを教えてください
県民局にいたので今されている方に誘われて入りなさいって言われて(笑)。
元々仕事が副局長だったから、文化の関わりで色々とご縁が出てきたのもきっかけで。淡路島とか地域が好きだったのでいろいろな人に「勉強になるよ」と言われてはじめました。
2:俳句の魅力、楽しさはどこにあると思いますか
淡路島の良いところや、いろんな地域のことがあるんだけれど、それを短い端的な言葉できちんと残していくことが出来る。5・7・5なので短いですよね。
でも、短い言葉できっちりと喜びや楽しみとかそういったものを残していけるというのは俳句じゃないかな。短歌みたいに長くないから理屈がこねられないのよ。
良いなと思ったことを5・7・5でどう合わして、それを自分だけじゃなくて、みんなに共感してもらえるようなものを作りあげるのは技術がいる、という意味では奥深いし、面白い。
5・7・5で季語が生きる
短いがゆえに「季語」って言葉があってね。
「季語」っていうのは、例えば「花」でもそこにはいろんな文化が入っているのね。
だから季語を使うことによって5・7・5が活きてくる。
短い言葉で表現して共有出来るのは俳句の魅力ではないかなと思っています。
3:季語とは何ですか、好きな季語があれば教えてください
今だったら海の関係が良いので、例えば『青葉潮』とか青葉潮って中から浮かんでくる情景とかねあるだろうし。
*インタビュー時は5月1日でした
もっと違う意味では例えば「桐の花」って言葉があっても花だけじゃなくてその桐の花が持っている生活とか色んなものを持って表現できるって意味ではその花の名前とかそういうものの広がりがあるので、かえってそういう単純な季語が面白いというかね。
意味を特定し過ぎないほうが、季語をどう使ってみんなと共有するか・文化を作りあげていくかというのが大事かなと思います。
4:どのようにして俳句を作っていますか、どのように発想していますか。
神戸に住んでいるんですけど句会が月に3回あって、うち1回はZOOMバーチャルなので、
洲本には、月2回来てます。
定期的に句会があれば、スケジュールを合わせて準備したり、俳句をまとめないといけないな、と自然にリズムが出来るのでこの句会っていうのが俳句をする上での1つのポイントかなと感じます。この若葉会の句会は人との縁なのね。人とのコミュニケーションの中に成り立っている文化なので、出会って会話しないとわからない。人と人との中で初めて出てくる文化ではないかなという気がします。
自分がいいなと思った情感なり風景なり暮らしが多くの人に共感の輪を広げることができた、俳句の5・7・5でね。
それが俳句でしょ。
手応えがあっても理解されない時がある。そういった意味では人生なのかもしれませんね。
6:初めて俳句を作る方へ向けてひとこと
短い言葉で自分の思いをきちっと表せることの喜びっていうのと、「季語」を入れなければならない。
「季語」というのは、その言葉を入れることによってすごく文章が活きるんですよね、生き生きしてくる。
そういう意味では良いなと思っていることを文章にして残したいと思っている人にとっては1歩上がることができるルールなのかなと。
いい景色を凝縮して自分の中で作れるというのが魅力なのと、自分の作った俳句がみんなの評価の中で分かるのもポイントなのかなって気がしますね。
インタビューにご回答いただきありがとうございました!
インタビュー中の「青葉潮」という季語について
「青葉潮」あおばじお
新緑5月ころ、沖合に勢いよく差し込んでくる暖流(黒潮)を、漁師だちは青葉潮とか青山潮というそうです。プランクトンの繁殖でにごった寒流と明るく澄んだ暖流の境目にはっきり潮目が現れ、幾条も桔梗色(ききょういろ)と浅黄色(あさぎいろ)とが縞(シマ)になった縞潮を見ることも多く、この潮が北上するとカツオがとれるそうです。
青葉潮という季語にこれだけの意味がこめられている、季節の情景をおもいおこさせる、というのに驚きです。
歳時記をみながら解説していますが、次の季語は「初鰹:ハツガツオ」でした。その時期を端的に表す、季語のすごさに感動するばかりです。
*出典:最新俳句歳時記 夏 山本健吉著 より
下記のサイトでも検索ができます。
季語歳時記5000
https://kigosai.sub.jp/001/archives/16695
青葉潮(あおばじお/あをばじほ) 初夏
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